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車で自転車の横を通るときの決まりと、しまなみ海道の自転車

2026年4月1日から道路交通法に入った、自動車が自転車の右側を通るときの決まりを条文で確かめ、愛媛県の条例と、しまなみ海道で自転車が走る場所をまとめました。

この記事のまとめ

  • 自転車の右側を通るときの決まりは、2026年4月1日から道路交通法第18条第3項に入っていて、すでに適用されている。
  • 条文は「十分な間隔」がないとき「間隔に応じた安全な速度」を求めるだけで、メートルの数字は書かれていない。
  • 警察庁の目安は間隔1メートル程度、取れなければ時速20〜30キロ程度。愛媛県の運動は1.5メートル以上を呼びかけている。
  • しまなみ海道の橋では、自転車は高速道路の車道とは別の通路を走り、橋のあいだの一般道ではブルーラインが引かれている。
  • 愛媛県の条例は、運転者に安全な間隔か徐行を「努めなければならない」と定め、罰則はない。

2026年4月1日から、自転車の右側を通るときの決まりが入った

道路交通法の第18条に、第3項と第4項が加わりました。e-Gov法令検索の法令の履歴を見ると、直前の2025年6月1日の版の第18条は第1項と第2項だけで、2026年4月1日の版から第3項と第4項が現れます。この日は、2024年5月24日に公布された令和6年法律第34号の施行日の1つです。愛媛県警察のパンフレットの表紙にも「令和8年4月1日施行」と書かれています。

今日(2026年10月13日)は、施行から6か月以上たっています。2026年7月21日には別の改正法(令和8年法律第52号)も施行されていますが、第18条の文は4月1日の版と同じです。

第3項は、自動車などが同じ向きに走る自転車の右側を通るときの決まりです。

車両(特定小型原動機付自転車等を除く。)は、当該車両と同一の方向に進行している特定小型原動機付自転車等(歩道又は自転車道を通行しているものを除く。)の右側を通過する場合(当該特定小型原動機付自転車等を追い越す場合を除く。)において、当該車両と当該特定小型原動機付自転車等との間に十分な間隔がないときは、当該特定小型原動機付自転車等との間隔に応じた安全な速度で進行しなければならない。

第4項は、自転車側の決まりです。

前項に規定する場合においては、当該特定小型原動機付自転車等は、できる限り道路の左側端に寄つて通行しなければならない。

「特定小型原動機付自転車等」は、第18条第1項で「特定小型原動機付自転車及び軽車両」と定められています。自転車は第2条第1項第11号イの軽車両に含まれます。警察庁の資料も、右側を通られる側を次のように書いています。

(*2)軽車両(自転車を含む)及び特定小型原動機付自転車

特定小型原動機付自転車は、JB本四高速のページで「いわゆる電動キックボード等」と説明されています。通る側の「自動車等」は、同じ資料に「自動車、一般原動機付自転車及びトロリーバス」と書かれています。

条文から読み取れる条件は3つです。

  • 同じ向きに進む自転車の、右側を通ること
  • 追い越す場合は、この項に含めないこと
  • 歩道や自転車道を走る自転車は、対象に入らないこと

「十分な間隔」に数字はなく、目安が2つある

第18条第3項には、メートルも時速も書かれていません。数字が出てくるのは、警察庁の「目安」と、愛媛県の呼びかけです。

警察庁の概要資料は、通り方の目安をこう示しています。

自動車等が自転車等の右側を通過するときは、できる限り間隔を空けましょう。少なくとも1メートル程度間隔を空けることが安全です。

自転車等と1メートル程度の間隔を確保できない場合には、時速20キロメートルから30キロメートル程度で運転しましょう!

同じ資料には、数字についての断りもあります。

※ 上記はあくまで目安です。自動車等が自転車等の右側を通過する際の「十分な間隔」や「間隔に応じた安全な速度」については、自動車等と自転車等との具体的な走行状況、道路状況や交通状況等により異なります。

愛媛県には、これとは別に「思いやり1.5m運動」があります。愛媛県自転車安全利用研究協議会が2015年11月15日に始めた運動で、県のページには次のように書かれています。

自動車等の運転者に対し、自転車の側方を通過するときは“1.5メートル以上の安全な間隔を保つ”か、道路事情等から安全な間隔を保つことができないときは“徐行する”ことを呼び掛ける運動です。

出どころ 書かれている内容 位置づけ
道路交通法第18条第3項 「十分な間隔」がないとき、「間隔に応じた安全な速度」で進行 法律(数字なし)
警察庁の概要資料 少なくとも1メートル程度。取れないときは時速20〜30キロ程度 目安
愛媛県の思いやり1.5m運動 1.5メートル以上。取れないときは徐行 呼びかけ

県の協議会のQ&Aは、1.5メートルが条例の数字ではないことも説明しています。そこには、標準的な道路の1車線は幅約3.5メートルで、1.5メートルを保つには最低でも約3.9メートルが要る、という計算も載っています。このQ&Aは2016年7月のもので、第18条第3項が入る前に書かれました。

追い越すときは第28条、横を通るだけなら第18条第3項

第18条第3項の括弧書きは、追い越す場合を外しています。「追越し」は、第2条第1項第21号で次のように定義されています。

車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう。

自転車の前に出る追い越しには、第28条が当てはまります。第1項は前車の右側を通ることを求め、第4項は次のように定めています。

前三項の場合においては、追越しをしようとする車両(次条において「後車」という。)は、反対の方向又は後方からの交通及び前車又は路面電車の前方の交通にも十分に注意し、かつ、前車又は路面電車の速度及び進路並びに道路の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。

愛媛県の協議会のQ&Aは、追い越しのときの動きを3点、説明しています。

  • 自転車を追い越すときは進路変更を伴うので、合図(ウィンカー)が必要
  • 中央線が橙色の実線のはみ出し禁止の道や、対向車が近い場面では、できるだけ間隔を保って徐行する
  • 徐行しても安全に追い越せないときは、安全に追い越せるようになるまで追い越しを中止する

徐行は、第2条第1項第20号で「車両等が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう」と定められています。Q&Aでは、協議会が、自転車の側方を通るときの徐行を「自転車を安全に追抜くために必要となる最小限度の速度」と解釈していると書かれています。

守らなかったときの扱い

第18条第3項と第4項は、それぞれ罰則の条文が決まっています。

立場 条文 罰則 青切符などの扱い(愛媛県警察のパンフレット)
自動車などで通る側 第119条第1項第6号 三月以下の拘禁刑又は五万円以下の罰金 違反点2点。反則金は普通車7,000円、大型車9,000円、二輪車6,000円、原付等5,000円
自転車などの側 第120条第1項第2号 五万円以下の罰金 反則金5,000円(被側方通過車義務違反)

第119条の冒頭は「次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の拘禁刑又は五万円以下の罰金に処する。」、第120条の冒頭は「次の各号のいずれかに該当する者は、五万円以下の罰金に処する。」です。

別の条文もあります。第117条の2の2第1項第8号は、他の車両等の通行を妨害する目的で、道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法で、第18条第3項の違反となるような行為をした者を、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金としています。

さらに第117条の2第1項第4号は、この罪を犯し、よって高速自動車国道等で他の自動車を停止させるなど、道路における著しい交通の危険を生じさせた者を、五年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金としています。

愛媛県の条例は、運転者に「努めなければならない」と定めている

愛媛県には、2013年7月1日に施行された「愛媛県自転車の安全な利用の促進に関する条例」があります。県のページによると、歩行者・自転車・自動車などが思いやりをもって道路を分け合う「シェア・ザ・ロード」が基本の考え方です。第6条は、自動車と原動機付自転車の運転者について、次のように定めています。

自動車等の運転者は、自転車が車両であることを認識し、歩行者、自転車及び自動車等が共に道路を安全に通行することができるように配慮するよう努めなければならない。

自動車等の運転者は、自転車の側方を通過するときは、これとの間に安全な間隔を保ち、又は徐行するよう努めなければならない。

県のページには「なお、本条例における罰則の規定はありません。」とあります。条例の「努めなければならない」と、道路交通法第18条第3項の「進行しなければならない」は、別の決まりです。

しまなみ海道で自転車が走る場所

しまなみ海道(西瀬戸自動車道)は、JB本四高速のページで次のように説明されています。

尾道と今治を結ぶ西瀬戸自動車道(愛称「瀬戸内しまなみ海道」)は全長約60kmの自動車専用道路です。橋梁区間には歩行者、自転車、および125cc以下の原付専用の通路が設けられています。

自転車の通路は、高速道路の車道とは別に設けられています。橋ごとの場所は、JB本四高速のページで次のとおりです。

橋 自転車歩行者道の場所
来島海峡大橋 上り線(尾道方面)の高速道路に沿って設置。原付道は下り線(今治方面)側
大三島橋・伯方・大島大橋 原付道・自転車歩行者道が、上り線(尾道方面)の高速道路に沿って設置
生口橋・多々羅大橋 自転車歩行者道は下り線(今治方面)、原付道は上り線(尾道方面)の高速道路に沿って設置
因島大橋 原付・自転車歩行者道は橋桁内部

橋の通路の入口は、車の入口とは別です。

原付道・自転車歩行者道への入口は、高速道路のインターチェンジとは異なります。誤って高速道路に入らないようご注意ください。

JB本四高速の「自転車歩行者道の利用の仕方」のページにも、一般道から橋の自転車歩行者道への出入口は自動車専用道路のICとは別の箇所にある、と書かれています。同じ「原付道・自転車歩行者道」のページには、向島ICからは原付・自転車・歩行者は進入できないとあります。

電動キックボードなどの特定小型原動機付自転車は、橋では自転車歩行者道を通ります。JB本四高速のページは「自転車歩行者道をご利用ください。(原付道は通行できません。)」と案内しています。第18条第3項の「自転車等」には、この車両も含まれます。

橋と橋のあいだの一般道で出会う場面

JB本四高速のページでは、橋の自転車の通路は高速道路の車道とは別の通路で、入口も車とは別の場所です。橋のあいだの一般道については、次のように書かれています。

橋梁区間以外では、一般道にサイクリングのルートを示すブルーラインが引かれています。尾道や今治など目的地までの距離もライン上に明示されているので、ラインに沿って走れば安心!

愛媛県側の協議会(しまなみ海道自転車道利用促進協議会 愛媛事業本部)のページにも、同じものを指す説明があります。

ルートには、ブルーラインや進行方向と残りの距離数を記載した路面標示が設置され、サイクリストが地図を持たなくても目的地に到着できるようにしています。

愛媛県の「ノッてる!えひめ」では、この路面標示が「安心ナビ」と呼ばれ、車道の左側に描かれていると写真つきで説明されています。

ブルーラインが車道のどこにあるかは、広島県のページに書かれています。広島県が管理する道路(広島県側)の整備について、2014年8月に掲載された説明です。

ブルーのラインは,車道左端に幅20cmで設置しております。

設置の目的の1つは、運転する人への呼びかけです。

自動車運転者に対して,自転車への注意を喚起する。

愛媛県側のブルーラインの幅や設置した道路管理者は、今回の資料では確かめられていません。

一般道で自転車に追いついたときに関わる案内を、公的機関のページから拾うと次のとおりです。

  • 並んで走ることについて。 JB本四高速は自転車の利用者に、一般道も橋の上も一列で走るよう案内しています。併走は危険と書き、道幅が狭く他の車両や歩行者もいることを理由に挙げています。
  • 夜について。 同じページに「島や海は夜になると真っ暗です。」と書かれ、自転車のライトが付くかの確認を呼びかけています。
  • 風について。 JB本四高速の橋のページには「海峡部は風が強いことがありますのでご注意ください。」とあります。橋の通路についての説明です。
  • 歩道を走る自転車について。 愛媛県警察は「自転車は、歩車道の区別のある道路では、車道を通行しなければなりません。」としたうえで、普通自転車が歩道を通れる場合を示しています。第18条第3項は、歩道を走る自転車を対象から外しています。
  • 自転車の動きについて。 県の協議会のQ&Aは、中央線をはみ出せない場面では「自転車の不意な動きにも十分に注意しながら“徐行”し」て通るようお願いしています(2016年7月)。

県の「思いやり1.5m運動」のページは、運動の背景として、自動車などが自転車に追突する事故も少なからず発生しており、一度発生すると自転車の運転者の致死率が極めて高くなる傾向がある、と書いています。

走る前に頭に入れておく3点

  • 同じ向きの自転車の右側を通るとき、「十分な間隔」がなければ「間隔に応じた安全な速度」で進む。2026年4月1日から施行されている。
  • 間隔の目安は、警察庁が1メートル程度、愛媛県の運動が1.5メートル以上。取れないときは、前者が時速20〜30キロ程度、後者が徐行。
  • しまなみ海道の橋の上では、自転車は別の通路を走る。同じ車道で出会うのは、橋のあいだの一般道。

この記事について

ここに書いた内容は、2026年10月13日に、e-Gov法令検索、警察庁、愛媛県警察、愛媛県、JB本四高速、広島県のページで確かめたものです。実際に走って確かめてはいません。

確かめられなかったことは3つあります。令和6年法律第34号の附則(施行期日の条文)の原文は取得できず、施行日は法令の履歴と愛媛県警察のパンフレットで確かめました。県の協議会のQ&Aは2016年7月のもので、第18条第3項の施行後に見直されたかは分かりません。愛媛県側のブルーラインの幅と設置者も、今回の資料にはありません。

法律の条文や反則金の額は改正されることがあります。出発の前に、警察庁と愛媛県警察のページで現在の内容を確認してください。

出典

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